風物詩

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毎年その寺の境内の柿の木には
美味しそうに熟れた柿がたくさんなる

お寺で修行中の小僧は
それが食べたくて仕方がなかった

しかし高い所にあるせいで
彼にはとても届かない

しばらくすると一羽のカラスが
やってきて
真っ赤な柿を突いて食べた

悔しくなった
小僧は力いっぱい鐘を鳴らして
カラスを追い払った

明くる日 小僧が
長い木の棒で柿を落とそうとしていると
彼を嘲笑うかのように
カラスが小僧が落とそうとしていた
真っ赤な柿を
彼の前で突いて食べ始めた

小僧はまた鐘を鳴らして追い払った
毎年繰り広げられるその
様子は寺の風物詩となった

ある時彼等のやり取りを見た
四季を愛する一人の男が俳句を詠んだ

柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
その他
公開:18/10/05 22:33
更新:18/11/16 23:46

春星( 神奈川県 )

春星と申します

自宅では一児の親
職場では会社員

そして通勤電車の中では
自称ショートショート作家に
大変身‼︎

長い冬眠から目が覚め
久々に復帰しました
また皆様宜しくお願い致します!

 

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