紙幣戦隊サツレンジャー

地球を守る三人のスーパー戦隊ヒーローがいた。

「野口英世ではない。夏目漱石である。センレンジャー！」
「新渡戸稲造じゃないわ。樋口一葉よ。ゴセンレンジャー！」
「福沢諭吉と言えばこの私。学問のすゝめ。マンレンジャー！」
「「「三人揃って、サツレンジャー！」」」

「我々、洗練されていますなぁ」
「そうね。ご先祖様にも見せてやりたいわ！」
「しかし、慢心はいかんぞ」

そこに新たなヒーローが現れた。

「ニュー紙幣戦士。表は守礼門、裏は紫式部。ニセンジャー！」

「ニセモノが来たぞ！」
「ニセ札は犯罪ですよ！」
「我々の中の人は警察官なのだ。だから『サツレンジャー』なのである」

こうしてニセンジャーは、あっさり逮捕された。
決して偽物ではなかったのだか、いかんせん存在感が薄すぎたのである。


すゞむし
十五夜のゆふくれに佛のおまへ


ニセンジャーは牢屋の中で、寂しく詞を詠んだという。