お手紙

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曲がりくねった山道を駆け下りると、家がだんだんと増えてきて、視界が狭くなってくる。最後のカーブを曲がったらすぐに、最初の信号機が見える。
二車線の道路とつながる交差点。
その角にある郵便局の、赤いポストに私は手紙をコトンと入れた。
高い位置にある口に届くように、ちょっと背伸びをして手を伸ばす。
油断するとスカートの裾からふわっと尻尾が出てしまうから、とっても気をつける。
自分の姿をカーブミラーでチェックして、誰にも見つからないうちに急いで山道に向かって駆け上がった。

赤いポストから回収した郵便物を振り分ける作業中、葉っぱを見つけた。
おっと、またか。
僕は葉っぱを手に持って、んんっっと少し気持ちをかける。
葉っぱは白いハガキになって、届け先と文面が人間の文字に変わる。もちろん切手もぺたりと貼られている。
油断すると頬からピンとヒゲが伸びるから、いけないって両手で隠したりして。
ファンタジー
公開:18/10/03 23:24

ケイ( 長野 )

ショートストーリー、短編小説を書いています。
noteでも作品紹介しています。​​
​​​​​https://note.com/ksw

テーマは「本」と「旅」です。

2019年3月、ショートショートコンテスト「家族」に応募した『身寄り』がベルモニー賞を受賞しました。(旧名義)
2019年12月、渋谷TSUTAYAショートショートコンテストに応募した『スミレ』が優秀賞を受賞しました。
2020年3月、ショートショートコンテスト「節目」に応募した『誕生会』がベルモニー賞を受賞しました。

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