ダイアモンドの爪

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父はダイアモンドの加工職人をしている。私は生まれた時からダイアモンドが身近にあった。中でもダイアモンドの削り屑は、かっこうの遊び道具だった。
私と姉は父の作業場に忍び込んでは、削り屑で遊んでいた。スプーンですくっては上から撒き、またすくっては撒き。飽きずに繰り返していた。
ある日姉が「グラニュー糖みたいね」と言った。私達はダイアモンド屑を一匙ティッシュに包み、部屋に持ち帰った。そして紅茶に入れて飲んでみた。
「甘くは…ないわね」姉ががっかりした声で言った。それでもその日から私たちは紅茶に入れて飲むようになった。

10年後、姉が子供を産んだ。
生まれてきた子供の爪がキラキラと光っている。その爪は、ダイアモンドでできていた。
普通の爪切りでは切れないので、父に特製の爪切りを作ってもらった。切ってみると、可愛い三日月形のダイアになった。
姉は喜び、それをアクセサリーにしてネットで売っている。
その他
公開:18/10/04 15:31
スクー スプーンで掘る ダイアモンドダスト

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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