賢者の教え

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「ダイヤモンドダストのかき氷が食べたい」
なんでもそれは極上の甘味で天使の大好物らしい。姫である私の頼みに賢者リドは笑顔で頷いてくれた。
賢者なんだから魔法でパパッと作ってくれると思ってた。それがまさか極寒の森に旅に出ることになるなんて。
ダイヤモンドダストが出るには条件があって、早朝で寒くて晴れてて湿気がある日らしい。
テントでの生活ももう5日。
誰よ、こんな寒い所でかき氷食べたいって言ったバカは!
「もういい!明日は起こさないで!」
もう帰る。そう思って眠りについて、翌日目覚めたのは昼近くだった。
「姫、ダイヤモンドダストで作ったスープです」
なんてこと!
起こしてくれなかったリドへの怒りを飲み込み、私は金色に輝くスープが入った器を受け取った。匙でひと掬いして口元に。温かい太陽の欠片が冷えた体に染み渡った。
「美味しい…」
知らなかった。
ダイヤモンドダストってレモネードに似てるのね。
ファンタジー
公開:18/10/04 12:59
スクー スプーンで掘る? 掘ってなかった! ダイヤモンドダスト

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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