星夜に眠る

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父が癌でこの世を去った時、母は泣きながら「パパはお星様になったのよ」と説明してくれたけれど、子供騙しの嘘という訳ではなかったらしい。
「ご遺体をセットしてこのレバーを引くと、星を構成する元素と同じものが抽出されます」
インターンシップで訪れた小さな会社には、人の良さそうなおじいさんと、無言で作業を続ける青年の二人しかいない。
「星……ですか」
「ええ。と言っても恒星ではなく、星間塵なのですが。取り出された成分は次の機械に送られ、新たな星となって宇宙へ還ってゆくのです」
そうか。私たちが毎晩見上げている瞬きは、広大な埋葬地だったのだ。
「ここで働きたいです、私」
思わず呟けば、彼は笑みを深めて、お待ちしていますと言った。丁度人手が足りないのですと。

帰り道、凪いだ気持ちのまま満天の星を振り仰いでみる。
もう記憶にない父との優しい時間は、あのきらめきの一つとして、確かに息づいているのだろう。
SF
公開:18/10/04 05:19
更新:18/10/04 05:21

咲川音

小説を書いては新人賞に応募しています。

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