穴だらけのギフト

ここに来て、もうすぐ初めての冬がやってくる。酪農の勉強をしたくて北海道の大学に行くことを選んだ僕は、中学からずっと付き合っていた彼女と遠距離恋愛になった。付き合っていたといっても、最近はそんなべったりじゃなく親友みたいな居心地良い距離感。だから離れても大丈夫って思ったけど、唯一盲点だったのは、くだらないちっさい話しを出来る相手が側にいないっていうのは、結構心がスースーして寂しいもんだなってこと。
遠くより近くの温もりが良くなっちゃうっていうのは、こういう気分の時なんだろうなぁ。
なーんて、思ってたら彼女から、荷物が届いた。
品名に寒冷地手当─と書いてある。寒冷地手当って？
段ボールを開けると中から、穴だらけでガタガタの不格好なセーターが現れた。一緒に入っていたメモがヒラリと落ちる。
─穴だらけで不格好だけど、心の穴は塞いであげられるよ。なーんてね！─
セーターからふわりと彼女の匂いがした。