塀の中の白い恋人

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「ずっと好きだったわ。でもね、塀の中じゃデートもできない……もう、限界なの」
「…,…わかったよ」

ガラス越しの二人は、まるで会話しているようだった。
飼育員は不思議そうに、少女と白熊を見つめていた。
少女がそこから立ち去ると、熊は寂しそうに少女の後を目で追いかけていた。
飼育員は少女に話しかけた。
「お嬢ちゃん。熊とお話ししていたのかい?」
「そうよ。でも、もう話す必要ないわ、彼と別れたのよ」
「あいつ、フラれたんだ」

飼育員は白熊に餌を与えながら、話しかけた。
「リック、そう気を落とすなって、ほら今日は奮発して和牛だ。さあ食って元気出せって」
リックは悲しそうな声で鳴いた。
「そうだよな、話せるわけないよな」

朝、リックは園内の美少女をじっと見つめていた。
「お話ししない?」
少女は驚いたように目を見開いて、白熊の前にやってきた。

「驚いた?そう僕には、そういう力があるんだ」
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公開:18/10/02 12:41
更新:18/10/02 13:24
スクー 塀の中の白い恋人

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。
お笑い系のショートショートを中心に書いていきたいと思いますので、よろしくです(^^)。

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