死期迫る幻覚と幻聴

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スパン、スパン、スパパパン、スパンッ!
一定のスパンで軽快なリズムが男の脳内に響き続けていた。スパン、スパンと、それはまるで男の名をコールするように。朦朧とした意識の中でも警戒せざるを得ない。
漆黒の暗闇の中、瞼の裏にチラつく眩さ。それに導かれるように、ゆっくりと意識が戻る。うっすら開いた目に飛び込んできたのはキラッキラに煌めく衣装の獣。
「宇宙人、か」
「笑わせるな」スパンと頭を叩(はた)き、獣が言う。
「私は未来人だ。凍え死にそうなお前に、これを貸してやろう」
未来人と名乗った獣にキラッキラの衣装を羽織わされる。そこで男は思い出した。あぁ、私は北の大地を開拓していた屯田兵。猛吹雪に襲われ仲間とはぐれ、視界を奪われ、方向感覚も失われ、体力も尽き……。
これは幻覚か幻聴か。


スパンコール衣装の屯田兵という珍しい氷漬けのミイラが発見されるのは、地球温暖化が社会問題となってからの話である。
SF
公開:18/10/01 23:45
スパンコール衣装の屯田兵 スクー

壬生乃サル

自由きままに、気の向くままに。
サルも木から落ちる・る・る~。

壬生乃サル(MIBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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