水面鏡

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ふと立ち寄った町の、小さな雑貨屋さんに寄ってみた。
棚に並ぶ、古今東西の様々な雑貨の中で、あるものがきらりと光った。
「あれは何ですか?」
光の方を指差す。
「ああ、あれは水面鏡というんですよ」
店主はそれに手を伸ばして、そっとこちらに差し出した。
美しい装飾が施された手鏡だった。
鏡の表面は透き通り、まるで鏡の奥にもう一つ世界が存在するのではないかと錯覚するほどだ。
「この鏡は、世界各国の、あらゆる水面を切り取って作られるんです」
その表面を見ていると、確かに時々、波紋が広がって揺らぐ。
窓から店内に差し込む明かりが手元の鏡に反射する。
「これ、綺麗ですね」
「そうでしょう」

しばらくすると、鏡の端から大きな波紋が広がっていった。
「おや、これは珍しい」
何だろう。
首をかしげていると、鏡の中を何かが横切った。
綺麗な魚だった。
「時々、鏡を作るのに使われた場所と繋がるんですよ」
ファンタジー
公開:18/10/02 23:42

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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