カラス空白域

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わが町からカラスが消えた。つい先日まで妙に騒いでいたカラスの大群。そのカラスたちが忽然と、である。
妙に心がざわめき、隣町へ行ってみた。カラスはいた。これは一体……と、他にも複数の町へ出掛けてみた。どの町にもカラスは普通に存在していた。
どうやら、わが町だけカラスの分布がぽっかり空いてしまったようだ。地震空白域ならぬカラス空白域、とでも言うべきか。
カラスはとても知能の高い鳥として知られている。命を落とした仲間がいるとその周辺に集まって鳴き声をあげる。それは亡くなった仲間へ対し追悼の意を示すためではない。その死が起きた場所に脅威が存在するかどうか確認しているのだ。つまり、その場所を避けるかどうかの見極め。
先日まで騒いでいたカラスが消えた。すなわち脅威の存在。わが町に何が起ころうとしているのだろうか。

ふと夜空を見上げる。いつもより星が大きい。(バ)カァ、(バ)カァと聞こえた気が、した。
SF
公開:18/09/28 21:30

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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