暗がりから呼ぶ声

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部屋を掃除していた時のことだ。部屋の一角、ふとすれば見落とすであろう場所にそれはいた。
まるで私を誘うようにそれは笑い、気が付けば私はその手を取っていた。
何だこれは!こんなもの知らないぞ!
顔が焼けるように熱い!声にならない叫びがする!
出来るなら、今すぐ叫び声を上げて、この部屋から出て行きたい!
しかし私は動けなかった。まるでその場に縫い留められるよう、それを手離すことが出来なかった。
尚もそれは私を苦しめる。一体どれ程の時間苦しめられただろう…
「掃除終わった?って、まだ全然片付いていない…」
様子を見に来た親が部屋に入ってくる。
「来るな!」
私は拒絶の声を上げていた。
「それ…昔あんたが書いていたマンガだよね?」
親にそう指摘され、背筋が凍る。
「ちょっと見せてよ」
「マヂで無理!」
暗がりから現れた私の過去の負の遺産…
それと向き合っていたら、いつの間にか数時間が経過していた。
公開:18/09/30 18:56

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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