招き猫哀歌

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二匹の仔猫がいた。ミャーミャーと可愛らしく鳴いている。その瞳はうるうるしていて、何かを訴えているようだ。
その仔猫たちの父は白猫と黒猫のハーフ。雑種であるが、紆余曲折を経て今では豪邸に住んでいる。母は三毛猫。血統書付きの由緒正しい猫である。そんな二匹から生まれた仔猫たちは白黒まじりの三毛猫だった。

「ねぇ、招き猫って知ってる?」
「あぁ。右手を上げた招き猫は金運を、左手を上げた招き猫は人を呼ぶらしいぜ」
「じゃあ、シロとクロとミケの話は?」
「白猫は福を呼び、黒猫は厄除けに、三毛猫は幸運を呼ぶそうだ」
「それって、私たちが両手を上げれば……」
「コンプリート、だな」

二匹の仔猫は段ボール箱に両前足を乗せている。それはまるで手を上げているように。

「私たち最強よね!」
「あぁ、きっと良いことだらけだぜ!」
「だから……」仔猫たちはより一層大きな声で鳴いた。
「誰か拾ってみませんかぁ!」
その他
公開:18/09/29 23:05
招き猫の日

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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