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目が合ったと思ったら逸らされて、僕は何か悪いことをしたんだと思ってた。
話したことなんて、数えるほどしかないけれど、きっと気に障ることを言ったんだろう。
ごめんね、と謝れたら楽なのに、謝る理由が分からない。
それになんだか避けられてもいるようなのだ。
声をかけようと近づくと、気配を察したかのように、すーっとどこかへ行ってしまうのだ。
あぁもうどうしたらいいのか。

ある時、人の輪から離れる姿を見て、今度こそ!と思った。
僕は初めてその背中に追いつき、ついに声をかけることに成功した。

どうして避けるの?
僕、何かした?

半分くらい振り向いたその口が開きかけた時、ボールが飛んできて僕に直撃した。
振り向くと、投げたやつが半笑いしながらこちらに寄ってきた。
ごめんごめん、手がすべって。
そして、僕にニラまれながらこう言った。
でもさ、さっきから何ぶつぶつ言ってんの?
最近お前、独り言多いな。
その他
公開:18/09/29 21:05

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