差し入れ
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「差し入れ、欲しいものある?」
面会の最後に、いつものように聞いた。
「白い恋人」
「白い恋人?あの、お菓子の?」
「そう、北海道の定番土産の白い恋人」
「え、あなた、甘いもの嫌いじゃなかったの?」
「ああ、俺じゃないんだ、食べたいのは。同房のサブって若いやつ」
「いつも話してくれるちょっと頼りないお兄ちゃん」
「うん、そいつが、白い恋人を食べたことがないって言いだしてさ。食べてみたいって言うから」
翌週、面会時に白い恋人を差し入れた。
「サンキュ。サブに食べさせてやるよ」
さらに翌週の面会。
「サブがすごく喜んでたよ。あいつ、涙流しながら食べてさ、『次はシャバでまっとうな仕事をしてもらった金で買って食べます』なんて言うもんだから、こっちまでホロリときちゃったよ」
3か月後、サブは刑期を終え出てきた。彼は必死に働いた。同房のみんなに、自分の金で買った白い恋人を差し入れるために。
面会の最後に、いつものように聞いた。
「白い恋人」
「白い恋人?あの、お菓子の?」
「そう、北海道の定番土産の白い恋人」
「え、あなた、甘いもの嫌いじゃなかったの?」
「ああ、俺じゃないんだ、食べたいのは。同房のサブって若いやつ」
「いつも話してくれるちょっと頼りないお兄ちゃん」
「うん、そいつが、白い恋人を食べたことがないって言いだしてさ。食べてみたいって言うから」
翌週、面会時に白い恋人を差し入れた。
「サンキュ。サブに食べさせてやるよ」
さらに翌週の面会。
「サブがすごく喜んでたよ。あいつ、涙流しながら食べてさ、『次はシャバでまっとうな仕事をしてもらった金で買って食べます』なんて言うもんだから、こっちまでホロリときちゃったよ」
3か月後、サブは刑期を終え出てきた。彼は必死に働いた。同房のみんなに、自分の金で買った白い恋人を差し入れるために。
その他
公開:18/09/27 09:19
スクー
塀の中の白い恋人
文章を書くのが大好きです。
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