俺達の青春

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中学の修学旅行の時。目の前の塀の高さに俺達は絶望していた。
「やっぱやめようぜ」
その場にいた全員が俺を睨んだ。
「隆史は彼女いるからいいよな」
「何だよそれ」
俺だって由佳の裸見たことねぇよ。
「あと壁一枚で女風呂だぞ。引き返せるか」
確かに、旅館の部屋からここまで長い道のりだった。そこで俺達は必死に策を巡らし苦渋の決断をする。
人間タワーだ。
問題は誰が一番上になるか。
魂のジャンケンの結果、勝ったのは俺だった。
別に女風呂を覗きたいわけじゃない。由佳の裸を他の誰にも見せたくないだけだ。嘘だ。俺は由佳の真っ白な裸体を想像し鼻血が出そうだった。たまんねぇ。
グッチとハセの肩に両足を乗せて立ち上がろうとした時、塀の上にいた大きなカエルが跳ねた。
「うおおっ!」
崩れる人間タワー。
騒がしくなる女風呂。
急いで逃げかえる俺達。
男達の夢が、儚く散った瞬間だった。

そいつらとは死ぬまで友達。
青春
公開:18/09/26 23:57
更新:18/09/27 00:07
スクー 塀の中の白い恋人 スクー連作短編

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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