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取材が終了し、記者は帰って行った。
テーブルの上には撮影に使った私の作品が並んでいる。
枝豆、オクラ、トースト、唐辛子にチョコレート。
本物そっくりだが、全て木彫りだ。
私はため息をついた。
記者にたずねられて、「先祖の影響で本物そっくりにこだわるようになりました」とか、「先祖は日本人ではない」なんて、いらないことを口走ってしまった。
嘘ではない。
嘘はつくなというのが、その先祖が残した家訓だ。
ただ、先祖の話をする必要はなかったのだ。詳細を追及されたら、困るのは自分なのに。
それでも、作品のことを考えると、どうしても、先祖のことを考えてしまう。
木を彫り、本物に似せていく。その最後はどこに行きつくのか。妖精の力なしで、どこまでできるのか。
私はカバンから先祖が書いた家訓の紙を取り出した。そこにはイタリア語でこう書かれている。
「嘘をついてはいけない。 ピノキオ」
テーブルの上には撮影に使った私の作品が並んでいる。
枝豆、オクラ、トースト、唐辛子にチョコレート。
本物そっくりだが、全て木彫りだ。
私はため息をついた。
記者にたずねられて、「先祖の影響で本物そっくりにこだわるようになりました」とか、「先祖は日本人ではない」なんて、いらないことを口走ってしまった。
嘘ではない。
嘘はつくなというのが、その先祖が残した家訓だ。
ただ、先祖の話をする必要はなかったのだ。詳細を追及されたら、困るのは自分なのに。
それでも、作品のことを考えると、どうしても、先祖のことを考えてしまう。
木を彫り、本物に似せていく。その最後はどこに行きつくのか。妖精の力なしで、どこまでできるのか。
私はカバンから先祖が書いた家訓の紙を取り出した。そこにはイタリア語でこう書かれている。
「嘘をついてはいけない。 ピノキオ」
ファンタジー
公開:18/09/26 23:28
名作絵画ショートショートコンテストで「復元師」が太田忠司賞を受賞しました。
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「ショートショートの花束」8と9にものっていますので、よろしく。
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