幻想動物見聞録・市子の場合

6
11

私が幼い頃。どこから来たか分からない不思議な子どもがいました。私より小さい、ボロの同じ服を着て、汚らしい子。夕方になるといつも窓から人の家を覗いて歩くから、みんな不気味がっていました。
遅いからうちにお帰り、って人々に言われるたびに、その子はニコニコ顔でいなくなる。でも最後は夜の公園で一人遊び。なんで帰らないんだろって不思議でした。だからうちに何度か誘ったんです。両親遅いから、帰る前まで遊んでご飯も食べて、夕方前にバイバイ。でも両親にバレました。ひどく嫌がって、もう来ないでって。あの子は少し泣きそうにして、でも笑って帰りました。私悲しくって、祖母に泣きつきました。そしたらね、次の日からお年寄りの方がみんな、一日置きにあの子を呼んでくれたんです。それから、他のご近所も。最後は両親まで。あの子は私を見て笑ってくれました。
十年経つけどあの子は子どもの姿のまま……。先生、きっとあの子は神様です。
その他
公開:18/09/26 14:12
更新:18/09/28 15:04
谷山浩子『よその子』 『訪ね歩く神様』 動物幻想見聞録

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705  - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容