あなたのお名前は？

「はやし みやこ、です」
木２つの林と都市の都で、林 都です。と、いつもの説明をする。
「ええ、よく言われます」
珍しいですね、といういつものリアクションを受け流して本題に入る。
「もう１つの人格が強くなる瞬間があるんです。幸い、ここに通っていることはバレてないと思うんですけど、いつもの私じゃない “私” は来てませんよね？」
そうですか、安心しました。胸を撫で下ろすと同時に不安に襲われる。
「本来の私がいなくなってしまったらと思うと……それって死ぬのと同じじゃないですか？切り替わっている間の記憶もないですし……怖いんです」

正確には彼女は“林 都”ではない。
本来の彼女は“木下 京子”だが、都の人格が京子を押さえ付けている。
このままでは京子の人格が消えしまうのではないかと危惧している。

私は“もり ことこ” 木３つと古い都で、森 古都子。

都に対抗するために生まれた第三の人格だ。