健太くんのてるてる坊主

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僕の名前は十五郎。
健太くんの記念すべき十五作目のてるてる坊主で、雨予報だった五日後の遠足を晴れにするため、健太くんの手から生まれてきた。
天気への対策は万全だった。
毎日の僕の歌やダンスの力が通じて、三日前にはもうおひさまから晴れの約束をしてもらうことができた。
けれどその夜、健太くんは熱を出して寝込んでしまった。
あんなに楽しみにしていた遠足だったのに、このままじゃ、晴れていても健太くんが行けなくなっちゃう。
僕は、枯れた声をさらに殺して布団の中で泣く、健太くんの涙が晴れるように、家の中へ向けて、三日三晩、歌やダンスを繰り返した。

遠足の朝、無事に快復した健太くんは、快晴の空へ飛び出すように走っていった。
僕は健太くんの代わりにすっかり声が枯れてしまったけど、なんだかとても誇らしい気持ちでいっぱいになって、今日が一日中晴れるようにと、枯れた声のまま、青空へ下手な歌を歌い続けた。
ファンタジー
公開:18/09/28 07:38
更新:18/10/02 21:05
スクー 声が枯れてるてるてる坊主

ゆた

高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。

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