万雷の夜

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宙の底まで透けて見えるようなあの大停電を乗り越えて、実りを喜ぶ祭りを今年も迎えた。被害はまちまちで、状況も一概に言えず、鑑みると私は全くの呑気者だ。電気と食べ物と、風呂の心配ばかりだった。
真っ暗だった街に明かりが灯る。ポツリポツリと日常が顔を出す。賑やかなこの祭りの灯りが笑顔を照らす。
明るく照らされたテントの下でよく冷えたビールととろとろチーズの乗った熱々のピザを手に賑わい語り合う人々。
だけどあの夜の、ビールの泡のような、万雷の拍手に似た天の川の星空を、皆が一様に見上げただろう夜空を忘れない。
街に光が満ち、あの星空はもう見えない。だがそこには変わらず、あの満点の星々が須く私たちの頭上にある。遠くの私よりも大変な人たちと同じ空の下にいる。禍福はあれど須く同じ土を踏んでいる。
少し離れた木立から覗く秋の祭典は、地上の天の川のように煌びやかに街を彩る。
全ての人に、日常が戻りますように。
その他
公開:18/09/27 23:48
札幌市オータムフェスト 万雷の拍手に似た星の瞬き 北海道胆振東部地震から 19日後

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

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