4
6

道端で、人の目玉を拾った。持ち主は大変なお金持だったようで、ダイヤモンドでできている。
21世紀までは、拾得物の代表的な例として財布、携帯、捨て猫などがあった。だが、我々の先祖は、それらに人間の身体が加わるということを考えもしなかっただろう。
現代では、拡張現実技術と機械化の発達によって人間の身体の概念は大きく変化したのだ。人は、網膜に現実の上に電子空間を重ね合わせる技術を獲得し、かつてネット上にしか存在しなかった自分の理想的な姿形を現実世界に映し出すことができるようになった。さらに、脆く老化してしまう身体を捨て、頑丈な機械の部品と入れ替えた。今やあらゆる人間はどんな容姿にも変化でき、しかもほぼ不老不死である。
そんな生き物が人間と呼べるのかって?
僕は、拾った超高級目玉を交番に届けに行った。すぐに持ち主の元に返るはずだ。人の助けになることができてとても嬉しい。
ほら、やっぱり人間だろう!
SF
公開:18/09/27 23:06

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容