事件です！

『刑事さん！あの男を捕まえてください！』
「どうしたんですか一体。あの人が何をしたというんですか？」
『あの男はさっき私の目の前で娘を殺したんだ！見てください！あの男、娘の返り血を鬱陶しそうに拭き取りました！あの男は私の娘を虫けらのように殺して、何の罪の意識もないんです！』
「ちょっと落ち着いてください」
『これが落ち着いていられますか！刑事さん、あの男は絶対に他にも殺している！捕まえて死刑にしてください！』
「それは無理でしょう」
『何故だ！』
「だって貴方、蚊じゃないですか。あの男の人、蚊を叩いただけですよ。あの血もあの人の吸われた血ですよ」
『そんな…この国はそこまで落ちぶれていたのか…もういい！儂があの男に復讐してやる！刑事さん止めるなよ！』

パチンっ！

「やっぱり叩かれた…虫の声が聞ける耳なんて持つものじゃないな…これだったらまだ『ぷ～ん』と耳元で飛ばれるほうがマシだ」