秋風と眼鏡

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とある小高い丘に一本の楓の木が立っていた
その楓はどうやら母の木の様です
今も両手一杯に赤、黄、緑色を帯びた掌に似た子供達を抱えています
おっと、失礼。正確には母親の腕に子供達がしがみ付いている様です

ある日、その楓の元に昔からの友人、旅人の秋風が突然、やって来ました
やあ、楓さん、久しぶり。元気だった
ええ、何とか元気です
ほお、それは良かった。そうそう、この前、君の幼馴染の銀杏さんに会ったよ
銀杏さんですか。最近、会っていませんでしたけど、元気でしたか
いや~
何かあったのですか
そうなんだ。以前から胃腸が悪いとは聞いていたんだが、どうやら癌の様だ
ガーン
そうだったの。知らなかったわ。それじゃ、今から彼女に手紙を書きます。秋風さん、届けて下さる
喜んで

数日後、銀杏さんの元に手紙が届いた
銀杏は愛用の眼鏡を掛け、手紙を読んだ
物言えば 唇寒し 秋の風
この文章、どういう意味
公開:18/09/27 14:44

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