悲鳴

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それは移動中の事だった。
いつもの癖でイヤホンをしていたため、良く聞こえなかったが、何やら高い音で叫んでいる気がした。
周りを見ても異変は感じられなかった。
しばらくすると、再び聞こえてきた。今度は長いこと聞こえた。気のせいでは無かった。
僕は音楽の音量を上げ、イヤホンの上から耳を塞いだ。隣の人が何か言った気がする。音が漏れているのか?少し音を下げる。
小さく聞こえるその音はなんなのか?意を決してイヤホンを外す。
「大丈夫ですか?」
再び、隣の人から声をかけられた。僕は小さく頷く。
「大丈夫です。少し音がうるさくて。」
そう答えると、その男性は唸って言った。
「それは金属が擦れる音じゃないでしょうか?」
新幹線が高速で線路の上を走る時の音。言われてみればそうだ。
「僕には悲鳴のように聞こえました。」
僕の意見に男性は笑った。
「確かに、擦れ合う金属が悲鳴をあげているのかも知れませんね。」
その他
公開:18/09/24 02:53

Y.S

社会人になってから小説のアイデアが湧かなくなったので、リハビリがてらショートショートを書いていこうと思います。

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