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その風船は、僕が手を伸ばせば届きそうな高さにあった。
この街に昔からあるこじんまりとした遊園地。
僕は幼なじみの彼女とここに遊びに来ていた。
観覧車の近く、年季の入った感のあるウサギの着ぐるみが子供達に風船を配っている。
そこから少し離れた所にある大きな木のふもとで、男の子が不安気に上を見上げていた。
視線の先で引っかかっている赤い風船を見つけた僕は、
風船が簡単に取れそうだと伝えるために男の子に近寄った。
すると、同じ歳くらいの女の子が男の子にくっついて下を向いて泣いていた。
僕はしゃがんで、男の子に言った。
「あの風船、僕の背じゃ届かないから、君、手伝ってくれるかい?」
「うん!」
威勢の良い返事を返して来たその子に、僕は肩車をして風船を取ってもらった。
風船を手に持った男の子は、僕の肩から降りた瞬間、
振り向きもせず「ありがとう!」と言って女の子の元に走って行った。
この街に昔からあるこじんまりとした遊園地。
僕は幼なじみの彼女とここに遊びに来ていた。
観覧車の近く、年季の入った感のあるウサギの着ぐるみが子供達に風船を配っている。
そこから少し離れた所にある大きな木のふもとで、男の子が不安気に上を見上げていた。
視線の先で引っかかっている赤い風船を見つけた僕は、
風船が簡単に取れそうだと伝えるために男の子に近寄った。
すると、同じ歳くらいの女の子が男の子にくっついて下を向いて泣いていた。
僕はしゃがんで、男の子に言った。
「あの風船、僕の背じゃ届かないから、君、手伝ってくれるかい?」
「うん!」
威勢の良い返事を返して来たその子に、僕は肩車をして風船を取ってもらった。
風船を手に持った男の子は、僕の肩から降りた瞬間、
振り向きもせず「ありがとう!」と言って女の子の元に走って行った。
青春
公開:18/09/23 23:13
更新:18/09/23 23:30
更新:18/09/23 23:30
元ITエンジニアで現在は準主夫です。ショートショート初心者ですが勇気出して投稿します。
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