ドーナッツとしろいふくの予定

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「あふっ……」

 熱いものを熱いまま食べるとヤケドをする。そんな当たり前のことを忘れ、どうして私は揚げたてのドーナッツをふうふうと息で冷ますこともせずに頬張ってしまったのだろう。
 揚げたてのそれを口元に寄せ、己の唇に嫌な痛みが走った瞬間、私は自分を百万回は馬鹿だと思った。

「あーぁ、ヤケドしたな?」
「うそでひょ……」

 唇をヤケド。そんな間抜けな人生初が選りに選って今日。
 なんとも受け入れがたい出来事に、罪の無い目の前の同居人をつい恨みがましく見つめてしまう。

「明日の写真は一生残るのになぁ」

 少しの麦茶と氷の残ったグラスをこちらに寄こしながら、呆れたように彼が笑う。

「口紅塗ったらわかんないよ」
「誓いのキスで顔しかめる花嫁」
「ならない!がんばる、我慢する!」
「ははっ」

 我慢て、と、つよがる私の言葉に「君のそういうとこ好き」と今度は彼は声を出して大きく笑った。
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公開:18/09/22 08:30

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