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──今日こそ。
気合いを入れて、わたしは下駄箱の前に立った。
三年D組15番。「松田」と書かれたシールが、小さな扉に貼ってある。
松田先輩。バスケ部のキャプテンでイケメンで、成績優秀でもちろん優しくて。全校女子の憧れの的。
何度も何度も書き直して、やっと書き上げたラブレター。これを渡したからって、先輩がわたしに振り向いてくれるはずなんてない。
でも、伝えなきゃ。この気持ちを。
大きく深呼吸して、わたしは下駄箱を開けた──

「どうしたの?」
十分後。教室の机に倒れているわたしに、友達が声をかけてくる。
「何やってるの、そんなとこで。今日こそ松田先輩にラブレター渡すんじゃなかったの?」
「松田先輩……」
ついさっきまで、その名前を聞くだけで胸がときめいたはずなのに。
百年の恋も冷めるってのは、きっとこういうのを言うんだろう。深い深いため息をつきながら、わたしは答えた。
「……足が臭かったの」
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公開:18/09/28 20:00
更新:18/09/30 20:30

にしおかゆずる

自分のペースででゆるゆると。
昔書いたtwitter小説を転載したりもしています。
 

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