赤トンボ

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秋になると沢山の赤トンボが空を舞う。まるで渋谷の交差点。

「昔からこんな感じなんだろうか?じいちゃんも父ちゃんもゴミゴミした中からよく、相手を見つけたよな」1匹の赤トンボは家族を思った。「このままフリーでいっか」と思ったら心がなんか軽くなった。相手を探す必要もないので誰よりも高く飛ぶ。綺麗な秋空。この世に生まれて良かったなぁと思い、ふと川を見ると羽の折れた赤トンボが川面スレスレを飛んでいた。危なげな赤トンボを僕は助けた。ススキの穂に降り、泣きじゃくる赤トンボの女の子。なだめながら僕は恋の予感を感じていた。そんな浮ついた気持ちの背後から大きな赤トンボがいきなり現れ、驚く僕らを優しい目で見た。僕が助けた赤トンボの顔が急に赤らむ。「僕の力じゃこの子を運んでやることは出来ない。君にお願いしてもいいかな?」と一言残し僕は飛び立った。寂しさはあるが気持ちのいい秋の日になった。
ファンタジー
公開:18/09/21 14:29
更新:18/09/24 15:16

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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