スパンコールの軍服

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「また、軍服の支給申請が却下されたよ」
土間で草鞋を編みながら、夫がため息をついた。

屯田兵として招集されたのが5年前。そのときに支給された軍服を繕いながら使っている。
「まあ、実際に軍服を着る機会はあまりないからね」
「でも、訓練の時に困るでしょ?」
「はは、みんなおんなじだから」

夫は笑うが、妻としては気が気ではない。
穴の開いたちょうどそこに鉄砲の弾が当たったら。
「穴が開いてなくったって、鉄砲の弾が当たったらそれで終わりだよ」
夫がまた笑った。

冬。
夫の隊の訓練があった。みんな穴だらけの軍服で雪まみれになって帰ってきた。

キラッ

何かが光った。
よく見ると、みんなの軍服がキラキラと輝いている。
穴に詰まった雪が凍って光っているのだ。

私は以前雑誌で見た、光り輝くドレスを思い出した。
「まるでスパンコールみたい」

笑いながら迎える私を、夫が不思議そうな顔でみた。
その他
公開:18/09/23 21:47
スクー スパンコール衣装の屯田兵

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。
いつかちゃんと書きたいと思っているネタが3本ありますが、いまだ手付かずのまま。
まずはショートショートで修行します。

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