ポイ捨て

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植物は自身の種を遠くへ運ぶために動物を使う。なかでも人間を運び屋として活用し、この半世紀で飛躍的な繁殖を遂げたのが自動販売機だ。

人間が缶ジュースを買う。どこかへ持っていって飲む。すべて飲みきれば良いが、なかには飲み残しを道端に捨てる輩がいる。これが何かの拍子で倒れたとき、こぼれたジュースが種となり、数年後に新たな自動販売機が生まれる。

が、ここ数年で自動販売機の個体数は、協力関係にあった人間をはるかに上回ってしまった。人口減少が急速に進む過疎地では、その影響はさらに深刻で、自動販売機は一気に減少局面に入ると専門家は予測する。

黙ってないのは環境保護団体だ。

「自分の周りの環境を、いま一度、見つめなおしてみてください。自販機のない世界なんて、不自然そのものでしょう」

そう言うと、飲みかけの缶ジュースをポイっと森の中へ投げ入れた。
その他
公開:18/09/22 22:24

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