翡翠の森

最近とある森の泉の周りで、大量の翡翠が発見されたという話を聞く。
翡翠と言えば、川や海岸などで発見される鉱物だ。
森の中で発見されるというのは、どういう仕組みなのだろうか。

気になった私は、その真相を確かめるために向かうことにした。

入れそうな所から川沿いに進むと、泉が湧いているのを見つけた。
森の中の空気は澄んでいて、からだの細胞が目覚める。

泉の外周を回ると、足元に輝くものを見つけた。
翡翠だ。たくさん落ちている。その数は目を見張るものがある。
一体何が原因でこうなっているのか。

考え込んでいると、一瞬視界に影が差した。
見上げると一羽の鳥だった。カワセミのようだ。
カワセミはしばらくすると力尽きてぽた、と落ちた。
その体はざわざわと波打ち、やがて一つの鉱物となった。

カワセミは漢字で翡翠と書くらしい。
美しくありたいと願う鳥の気持ちが、鉱物になった一因なのかもしれない。