グルメな目

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「人喰いの目、知ってる?」
そう言ってきたのは僕の後ろの席の女子。クラスでアイドル的存在な彼女。正直、僕も気になっている。
今、そんな彼女と教室で二人。
「人喰いの、目?」
「そう。とってもグルメなお目目ちゃんなの」
と、恍惚な表情を浮かべた顔を僕に近付けてきた。
「ねぇ、聞いてる?」
彼女の吐息と唇が迫る。心拍数が跳ね上がった僕は思わず目を閉じた。唇に柔らかい感触。
「……ふふ。可愛い」
彼女の言葉にソッと目を開ける。
「ひっ……」
彼女の目が、飛び出していた。瞳孔が口の形をしている。そして……。


「……瞳に吸い込まれる、ならぬ、瞳に喰われるってね」
彼女の話を聞き終えた僕は息を一つはいた。
「その目は悪霊?」
「ふふ」
恍惚な顔をした彼女が僕に近付く。
なるほど。今の話と同じシチュエーションか。僕は逃げた。
「あ、ちょっとぉ!」

引っ掛ってたまるか。
グル、なんだろ? その目と。
ホラー
公開:18/09/19 23:59

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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