見つめていたい

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ここは僕の家のリビング。
僕と彼女はテレビを観ながら、ソファに並んで座っていた。

今日は僕が自慢の手料理を振る舞った。
「美味しかったわ」
彼女も満足そうだった。

僕たちが見ていたのはロマンティックな恋愛映画。
映画に影響されたのか、彼女が僕の方に身体を寄せてきた。
どんどん二人の距離が縮まってくる。

胸の鼓動が止まらない僕に、彼女は不満そうに言った。
「私の方を見て。ずっとあっちばっかり見てる」

「気になるんだよ」
僕の視線の先には、目が離せないものがあった。
どうしても見つめていたい。

「いいかげんにしてよ」
「もう少しだから待ってくれ」

その時だった。
「チーン」
気まずい空気に鋭い音が鳴り響いた。

僕は電子レンジからたい焼きを取り出した。
「一つ食べない?」
その他
公開:18/09/20 23:08
更新:18/09/20 23:17

ろっさ( 大阪府 )

短い物書き。
皆さんの「面白かったよ!」が何よりも励みになります。誰かの心に届く作品を書いていきたいです。

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