未来への手紙

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人類の末裔から、この手紙をまだ見ぬ知性に送る。
100年前、脳科学の進歩の結果、我々の祖先は、脳内にネジ状の部位が存在することを発見した。この部位を回すと、人の知能指数を自由に操作することができることがわかったのである。
これが終わりの始まりだった。
人類はネジを締めて天才になろうとする派閥と緩めて馬鹿になろうとする派閥とに分かれてしまった。すなわち、人類は家の中に引きこもり読書に耽る人々と外できゃっきゃとはしゃぐ人々(というより猿)とに2分された。その結果、当然のことながら、文明の進歩は止まり、地球各地の都市は荒れ果てた。
私は、この世界最後の人類の生き残りである。人類が滅びても、文字が失われることはない。文字が時を超え伝わることを、私は信じている。だから、この手紙をいつか読むであろう知的生命体へ向けて書いたのだ。どうか、我々の文明から多くの学びがあるように。
拝啓
SF
公開:18/09/20 22:57
更新:18/09/20 23:35

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