2048番目の初号機

　彼は沢山のロボットを作成した。しかし、どれも人々の目に止まる物では無かった。
　理由は明確で、それぞれがオリジナルだからだった。普通は幾度の改良を繰り返していくものだ。
　「何故、改良を加えずに新たな物を作成するのですか？」
　僕の質問に対して、新しい設計図から目を離さずに口を開く。
　「既存のモノに手を加えるのは簡単だ。新しいモノを創造する事はとても難しい。だから、新しいモノを作った方が技術が進歩する。」
　彼はそう言っているが、彼の技術を応用している人たちの方が注目され、彼の功績を知る者は少ない。それは悲しいことだ。
　「それにね。僕は新しいモノを創造することが楽しいんだ。だって、誰よりも先にそれを知ることが出来るんだから。」
　動かしていた手を止めると、描き終えた設計図を持ち上げた。
　「よし、今から作ってやるからな。最後の君を。」
　そこには、彼の亡き妻の名が書かれていた。