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「おばちゃん、ひもゆめ一回!」
カキミセの引き戸を引くなり、積まれたふ菓子や串のケースで見えないカウンターへと呼びかける。
カキミセは近所の駄菓子屋だ。
本当の名前は知らないけど、店の前に大きな柿の木があるから、僕らはみんなカキミセと呼んでいた。
菓子の間をすり抜けて行くと、ケースの先のおばちゃんが、ひもゆめを用意して待っていた。
「はい十円ね。いいの引きなねぇ」
ひとつ息を吐いて、束ねられた糸から一本を引き抜く。
すると僕の動きと連動して、一つの薄くて大きい結晶が、ずずっと持ち上がった。
「お、当たりねぇ」
そう言っておばちゃんが、綺麗な薄黄色のそれを引き抜く。
「やった!」
小さな袋に移したひもゆめに僕がジャンプすると、おばちゃんは嬉しそうに笑った。
僕はおばちゃんに挨拶をしてから店を出て、近くの公園でさっそくひもゆめを頬ばった。
目を閉じるとわたあめのように、ゆめがいくつも跳ねた。
カキミセの引き戸を引くなり、積まれたふ菓子や串のケースで見えないカウンターへと呼びかける。
カキミセは近所の駄菓子屋だ。
本当の名前は知らないけど、店の前に大きな柿の木があるから、僕らはみんなカキミセと呼んでいた。
菓子の間をすり抜けて行くと、ケースの先のおばちゃんが、ひもゆめを用意して待っていた。
「はい十円ね。いいの引きなねぇ」
ひとつ息を吐いて、束ねられた糸から一本を引き抜く。
すると僕の動きと連動して、一つの薄くて大きい結晶が、ずずっと持ち上がった。
「お、当たりねぇ」
そう言っておばちゃんが、綺麗な薄黄色のそれを引き抜く。
「やった!」
小さな袋に移したひもゆめに僕がジャンプすると、おばちゃんは嬉しそうに笑った。
僕はおばちゃんに挨拶をしてから店を出て、近くの公園でさっそくひもゆめを頬ばった。
目を閉じるとわたあめのように、ゆめがいくつも跳ねた。
青春
公開:18/09/17 14:19
更新:18/09/17 14:20
更新:18/09/17 14:20
高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
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