メモリの奪い合い

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妻が夫に対して言った。
「最近、忘れ物が多くて。あなたのメモリに書いておいていいかしら?」
夫は本当は嫌だったが、夫婦円満のためを思って、
「いいよ。ほら」
と妻にメモリに書き込ませた。

夫はメモリを仕事のこと、家庭のこと、趣味のことに使っていたが、最近、妻が夫のメモリにちょっとしたことを書き込むせいで、メモリが足りない。趣味にもっと使いたいのだ。
夫は悩んだ。
メモリの買い替えをするか……そんなお金はない。
そうだ、妻が寝ている間に妻のメモリにこっそり書き込んでしまおう。

その日の夜、夫はリビングで座っていたが、気持ちは全く落ち着いていなかった。
妻がなかなか寝ようとしない。
「早く寝ないかな……」
夫が妻の方を見ていると、視線が合った。
夫は気まずくなって別の方を向いた。

夫と視線が合った妻は気まずくなって別の方を向いた。
夫に聞こえないように小声で呟く。
「早く寝ないかな……」
ミステリー・推理
公開:18/09/17 13:00
更新:18/09/17 13:51

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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