青い記者たち

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子供の頃、カフェに真っ青な顔の人がいた。母親に「あの人、どうして顔が青いの?」と聞いたら、「余計なことを言うな」と一喝された。なにより怖かったのは、はりつめたその場の空気だった。

45年が経ち、今、わたしの息子は多数の記者からの質問に答えている。

ある青い顔をした記者が聞くーーあなたには地球人としての、またはこの惑星人としてのアイデンティティはあるのかーーと。

息子は戸惑い、スカイブルー色の手でスカイブルー色の顎を一瞬なでる。

私は隣の妻を見る。妻はいつもと変わらない青い顔で息子を見つめ続けている。

息子はなんとか答えようと、苦心しながら言葉を繰り出す。記者たちの多くは地球語が分からない。最後に息子がこの惑星語で挨拶をし、会場の空気が和む。

大丈夫、全惑星チャンピオンになった息子は、ただ自分を越えるために毎日を生きるーー父親が地球人で母親がこの惑星人であろうとなかろうと。
SF
公開:18/09/17 02:49

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