小さな巨人

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巨人族の村に、背が小さいことで悩む少年がいました。その背は通常の人族と変わらず、周りとの差は歴然でした。
彼の親は言いました。
「お前はまだ成長の途中だ。じきにみんなと同じくらいに背が高くなるさ。」
数年後、彼は背がほとんど変わらず、周りとの差は広まるばかりでした。そんな彼は言いました。
「他の人族は僕らの大きさに怯えているんだ。だから、僕が友達になって、みんな一緒に居られるようにするだ。」
その日の夕方、彼は近くの町へ出掛けました。生憎の雨だったため、ずぶ濡れになりながらも辿り着きました。
「こんにちは。巨人族の村から来ました。」
人が多そうな酒場で挨拶をすると、人々が集まってきます。
「そうか、巨人族の村から逃げてきたか。」
一人が言うと、全員が立ち上がりました。
「私たち、王国騎士団に任せなさい。すぐに仇を討ってやる。」
勘違いした彼らは、巨人族の村を滅ぼしてしまったとさ。
ファンタジー
公開:18/09/17 02:49

Y.S

社会人になってから小説のアイデアが湧かなくなったので、リハビリがてらショートショートを書いていこうと思います。

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