眼鏡交換
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水曜の朝、手探りで眼鏡を探す。
身体が重い。そんな朝は「眼鏡交換」で乗り切る。世界中の眼鏡っ子が、現実逃避を求めて契約を交わしている。
横のスイッチを押すだけで、眼鏡っ子同士の日常が一時的にすり替わる。
好きな時間に、好きな眼鏡を。
…それはトスカーナの原風景
ライオンの背中のような小麦畑が
風が吹いて一様になびき、黄金の光を放つ
それはムンバイへ向かう寝台列車
鉄格子の隙間から見えた
放浪者の目は鈍く
僕は思わず顔を背けた
それは神が鎮座する峰々
朝日に染まるマチャプチャレ
高嶺のしゃくなげは
この世の全ての紅を見おろす
それはネグロス島の風
ミルキーブルーの海に包まれて
引き潮が遠くに漣立つ
まるで手を振る友のように
それは…
気づくと、僕は電車に乗っていた。冷えた朝、人の熱気と満員電車。
眼鏡の曇りに呼び戻されて、僕は裸眼で世界を見つめた。
身体が重い。そんな朝は「眼鏡交換」で乗り切る。世界中の眼鏡っ子が、現実逃避を求めて契約を交わしている。
横のスイッチを押すだけで、眼鏡っ子同士の日常が一時的にすり替わる。
好きな時間に、好きな眼鏡を。
…それはトスカーナの原風景
ライオンの背中のような小麦畑が
風が吹いて一様になびき、黄金の光を放つ
それはムンバイへ向かう寝台列車
鉄格子の隙間から見えた
放浪者の目は鈍く
僕は思わず顔を背けた
それは神が鎮座する峰々
朝日に染まるマチャプチャレ
高嶺のしゃくなげは
この世の全ての紅を見おろす
それはネグロス島の風
ミルキーブルーの海に包まれて
引き潮が遠くに漣立つ
まるで手を振る友のように
それは…
気づくと、僕は電車に乗っていた。冷えた朝、人の熱気と満員電車。
眼鏡の曇りに呼び戻されて、僕は裸眼で世界を見つめた。
その他
公開:18/09/17 01:34
結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。
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