向こう岸の彼女

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この街の端っこには川が流れていて、僕らは小さい時からよくそこで遊んだ。
彼女のおじいさんは発明家で、色々なおもちゃを作ってもらった。
そういうときの彼女はとても誇らしげで、嬉しそうだった。

ある日、彼女は遠くへ行くことになった。
僕はその話を聞いてなかったので、とても悲しい気持ちになった。
一言くらいは言ってくれてもよかったのに。
どこに行ったか、父さんや母さん、彼女のおじいさんにも詳しくは訊けなかった。

僕は、彼女とよく遊んだ川辺に座って、向こう岸をぼうっと見つめている。

誰かいる。

目を凝らすと、そこには彼女がいた。

川の向こうは隣町だ。なんだ、すぐ近くに引っ越しただけだったのか。

彼女は微笑んで、小さく手を振る。
向こう岸に行こう。
そう思った瞬間。

目が覚めた。


おじいさんに、彼女は隣町にいるのか聞いたけど、違うみたいだ。

彼の後ろの額縁には、微笑む彼女がいた。
ミステリー・推理
公開:18/09/18 20:51

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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