月まで昇って

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 ふと、お月さまに近づきたいと思ったの。
 でも、わたしはまだちっちゃいから、お月さまには届かない。
 だから悲しくてめそめそ泣いていたら、キリンさんがやって来て、ボクの長い首を上るといいよ、と言ってくれた。
 わたしはキリンさんのお言葉に甘えて、長い首をするすると上ってゆく。
 ところが、キリンさんの首でもまだお月さまには届かない。
 そこへ今度はゾウさんがやって来て、その長い鼻でキリンさんを持ち上げた。
 確かにさっきよりは高くなったけどまだまだね。
 すると今度は手の長いおサルさんたちがたくさんやって来て、肩車で長いはしごをかけてくれたの。
 わたしはおサルさんたちに手渡しされて、とうとうお月さまのもとにたどり着いたわ!
 そこでわたしは――、お月さまを鏡にして、ママの口紅で唇を彩ったのよ。
 そして地上に帰る途中順番に、おサルさん、キリンさん、ゾウさんにキスをしてあげたわ。 
ファンタジー
公開:18/09/18 19:25
ファンタジー 動物 女の子 童話

猫春雨( 和歌山県 )

短編の執筆をライフワークとしています。
主に幻想的な作風で、童話寄りの、日常に潜む不思議を紡いでいます。
また、そう言った作品を使って豆本も製作。
普段は超短編というオチがふわっとした作品を書いているので、はっきりとオチの付けるショートショートは勝手が違うものですね(^^;

よろしくお願いします(^^)

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