新人類

ある日、ティー博士は、次のようなひらめきを得た。
「脳とスマホを直接接続することで、人間は機械とつながり、より高度な知性を獲得することができるはずだ！インターネットも脳神経も情報を伝達する媒体に過ぎない。一体そこに何の違いがあるというのか。何ということだ、私以外の人類がこんな単純なことに気がつかなかったとは！」
彼は、すぐに、スマホの接続プラグを頭に差し込んだ。
「これで私は新人類となる」
その瞬間、彼の頭の中へウェブ上の世界中の情報が激流のごとく流れてくる。この宇宙の創造主のみが得ることのできる真理を彼は垣間見た。
だが同時に、彼の意識は遠のいていく。ネットを通して、彼の意識は地球中に散らばっているのだ。プラグにつながった、抜け殻となった肉体を残して精神は情報の海の中で希釈されていく。
しかし、彼は幸福であるにちがいない。だって、彼という存在は、今や情報という新人類なのだから。