たまにはいいじゃないか

最近、面白いバッテイグセンターを見つけた。
ここでは、仕事の憂さを晴らすため、みんな愚痴を言いながらバットを振るのだ。

「何が ”お前の成長のためだ”。あんたがどや顔でプレゼンした資料、私が徹夜で作ったやつじゃん」

叫びながらだと、なぜかよくボールに当たるだから、不思議なものだ。

隣は50代くらいの男性だろうか。

「最近の若い奴とかいいたかないけど、流行り言葉を使ってるだけで、企画書の中身は空っぽなんだよ、“クリエイティブで、イノベーティブな秋のきのこ採り特集”ってなんだよ、きのこが生えているにはお前の脳みそだろ」

中々、鋭い当たりを連発している。

ふと、隣の男性と目があった。

なんと、隣にいたのは同じ会社の隣の部署で「上司にしたい人No.1」と歌われる部長じゃないか、

私に気づいた部長は、いたずらがバレた子供のような顔をしてこう言った。

「たまにはいいじゃないか」