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蒸し暑い夏の深夜。時折吹き付ける風の音が気になって、僕は外を眺めていた。月のない夜。二階の窓からは、外灯の明かりが連なって見えた。
また風が吹いた。窓が一瞬にして曇り、泥のような臭いが充満した。外灯が一つ、また一つと消えていく。目を凝らすと、二階建ての家ほどもある真っ黒いものが転がっていた。外灯が照らし出したそれは、女の首だった。巨大な女の首が、思い切り首を傾げる勢いで横にグルンと回転しながら、進んでくるのだ。
長い髪が電線に絡んでスパークした。グルンと回転するたびに、風が吹き付ける。
「前を通る?」
グルン。女の瞼は腫れ上がり、耳たぶは千切れ、唇は引き攣れたようにめくれていた。
呆然と立ち竦んでいると、停電になった。この先は丁字路だ。
「あっ!」と思った矢先、首は塀を貫通し、その敷地に建つ家の中に納まったように見えた。
翌日、その家にホームクリーニングの業者が来ていた。
また風が吹いた。窓が一瞬にして曇り、泥のような臭いが充満した。外灯が一つ、また一つと消えていく。目を凝らすと、二階建ての家ほどもある真っ黒いものが転がっていた。外灯が照らし出したそれは、女の首だった。巨大な女の首が、思い切り首を傾げる勢いで横にグルンと回転しながら、進んでくるのだ。
長い髪が電線に絡んでスパークした。グルンと回転するたびに、風が吹き付ける。
「前を通る?」
グルン。女の瞼は腫れ上がり、耳たぶは千切れ、唇は引き攣れたようにめくれていた。
呆然と立ち竦んでいると、停電になった。この先は丁字路だ。
「あっ!」と思った矢先、首は塀を貫通し、その敷地に建つ家の中に納まったように見えた。
翌日、その家にホームクリーニングの業者が来ていた。
ホラー
公開:18/09/15 09:52
更新:19/03/06 17:40
更新:19/03/06 17:40
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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