わがままクラッカー

10
16

親友の結婚式を祝うために、ある特殊なクラッカーを購入した。「ベストフレンド」と書かれたそのクラッカーは友情度によって音量が変わるという。

「最大音量天地を揺らがす大きさです」

キャッチフレーズに惹かれ、乾杯スピーチ時にクラッカーを鳴らす事にした。


当日私の出番がやって来た。スピーチを終え、締めの言葉へ。

「ありがとう大切な親友。君に届け、最高の乾杯を!」

「ブチ」

紐が切れた。

グラスに注がれるワインの音だけが空しく響く。私は焦り、念の為に準備していた2個目のクラッカーを取り出す。そして思いっ切り引っ張ろうとした瞬間、突如停電した。

「パァァン」

部屋中に響く豪快な音。
そして続く女性の大きな悲鳴声。

「銃声だ! 伏せろ!」

電気が点いた瞬間、私以外の人間は、皆ダンゴムシのように丸まっていた。

親友に大絶賛された笑いの結婚式。「ベストフレンド」想い届いて良かった。
その他
公開:18/09/16 18:08
更新:18/09/17 10:51

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容