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植物研究家のご主人様の温室には沢山の植物がいたが、家の周りに這いつづける蔦である私のことも、いつも温かい目で見守ってくれ切らずにいてくれた。

そんなご主人様が若い頃は教師をしていて恋人が居たこともあったが、植物のことばかり考えているご主人様に皆愛想を尽かし、しばらくするとここを出ていった。

それから幾年月が過ぎ、とうとうご主人様が永遠の眠りについた時、誰かにご主人様を見つけてもらおうとからだを揺らすも、周りの人たちはただ風で私が揺れていると思い気が付いてはくれなかった。

このままではご主人様は悲しく朽ちていくだけ。
残された温室の植物たちも皆うなだれている。

雷がゴロゴロと轟くある夜、私はご主人様が教師をしていたときに愛用していた指示棒をからだに絡ませ天へ向けた。
そこへドンッという轟音をたて雷が落ちてきた。

私たちは皆でご主人様を抱き締め、天国へ向かいゆらゆらと燃えていった。
その他
公開:18/09/13 21:12
更新:20/10/01 00:37

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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