変えられない

その電話に、私は慄然とした。
「は？来れないって何？」
『ごめんなさい。私はやっぱり行けない』
優しくて気弱な友人の声が一層小さく聞こえる。ただ事じゃないと私はスマホを握り直した。
「電波悪いね、今どこ」
『まだ家の近く……離れられなくて』
「あいつのせいね」
ふつふつと込み上げる怒りをこめて私は話した。
「目を覚ましなよ。あいつが何した？まだ右も左もわからないあんたを誘惑したあと、電話帳、メール全部消したり新しい通話とメールも隠したり！電話だってまともに取れないじゃない」
『長く待てない人なの。理解できない私が悪いのかも』
「あんたは悪くない。そのために今日誘ったんだよ。一緒に見てもらおう？そしたら、別れないにしても理解できるかも」
『ごめ……声聞こ、い。、て』
電話が切れてしまった。私は深いため息をついた。
「高スペック。それも昔の話ね」
私は機種変更の為、携帯ショップに入った。