素晴らしき世界

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死闘も佳境を迎えていた。
「この一撃で、、」
こんにゃくは最後の力を振り絞り、鉄拳を繰り出そうとした。
だが出ない。
だって手がない。こんにゃくだから。

歯痒そうなこんにゃくを見ていたローションは、それ見た事かと嘲笑した。
だがそんなローションもただ溜まることしか出来ない。
だって液体だから。
ローション自身はその事実には気付かぬフリをしていた。

何万ものオジギソウと
数頭のシジミチョウがそれを見守っていた。

静謐な時間が流れる。
ローションに塗れたこんにゃくの美しい光沢。
こんにゃくを抱擁し穏やかに漂わすローションの母性。
全ては均衡していた。

ふと、オジギソウが一斉に葉を閉じ出した。
シジミチョウは飛散した。

地殻津波が目前まで迫っていた。
青春
公開:18/09/13 10:31

バクテリア三昧( 東京 )

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